洋ラン生産に必要なミズゴケに代わる培地材として、
杉・桧の樹皮から生まれた天然の培養資材「クリプトモス」。
 その開発には、地域環境の保全に対する情熱と、
地域産業の発展を願う多くの関係者の熱い思いが込められています。


環境への思い

日光連山から流れ出る大谷川

今市に多く見られる杉林

■大切な天然資源を無駄にしたくない
 農林業の副産物である杉の樹皮は、生産資材として安定的・持続的に直接利用できる有効な天然資源です。
 この大切な天然資源をムダにしたくない。地域の天然資源は地域の宝物として有効に活用したい。この思いが、当組合のリサイクルシステムを確立し、新しい天然有機資材「クリプトモス」を誕生させました。

■自然の循環システムを崩さない
 今、人工的な作用により自然界のバランスが崩れ、公害など私達の生活に悪影響が出始めています。
 森林の恵みである杉・桧の皮は、天然の有機資材である「クリプトモス」として生まれ変わり、培養土としての役目を経て大地に帰り、また健全な土を作ります。
そして、健全な土は再び健康な植物を育むのです。
 この循環のシステムを安定させ、未来につなげていくことが私達の使命です。

■地球規模で環境を考える
 天然のミズゴケは日本ではそのほとんどが既に取り尽され、現在では外国からの輸入に頼っています。ミズゴケを無闇に掘り取れば自然破壊が進展します。自国の利便のために他国を犠牲にする時代ではありません。
 国産の身近にある資源を優先的に活用して、こういうことを回避できたら良い。そう努力をすべきであると私達は考えます。


クリプトモスのすばらしさ

 クリプトモスは、日本を代表する林木の杉と桧の樹皮から生まれた、植物を栽培する倍地資材です。林業の盛んな栃木県今市市(現日光市)の今市木材開発協同組合と栃木県農業試験場が共同で開発し、組合が所有する森林資源加工センターのプラントで大量生産をしています。

森林資源加工センター

■純国産の天然資材です
 杉は日本で最も多く生産されています。杉は皮を剥いてから製材されます。したがって、年間に産出する杉の皮の量は膨大です。 
 これまで杉の皮は未利用の資源でしたが、栃木県農業試験場はこれが植物の栽培に適することを数多の試験で明らかにしました。今市木材開発協同組合では、この杉の皮を粉砕加工し、量産する技術を研究、純国産の天然有機の植物栽培資材として開発し、発売することになったのです。

■繊維質の性状です
 杉の皮は、セルローズ、ヘミセルローズ、リグニンなどの分解しにくい成分からできた繊維状の性質を持っていて、粉砕すると繊維がモサモサにからんだモス状になります。この性質が、植物の根を優しく包み、最良の発達を促します。

■軽くて長持ちします
 イチゴのような高設ベッドの栽培、屋上ガーデンやベランダガーデンの施工、グリーンカーペットによるルーフカバー、壁面緑化のためのウォールガーデンの施工、窓辺を花と緑で飾るウィンドウボックスの設置、ハンギングバスケットなどはより軽い培地が求められます。
 
クリプトモス製品は軽いのが特長です。また、有機資材ですが分解が遅く長持ちすることから各方面で利用され喜ばれています。

■大地の懐に返すことができます
 クリプトモスは、全くの純潔無垢な天然の有機物です。都会では焼却ゴミとして排気できますし、耕す大地に返してあげれば、土の中で微生物が分解して土壌の改良をしてくれます。
 環境への配慮が叫ばれる中、自然に負荷を与えない天然資材として様々な場面でご利用いただけます。


クリプトモス誕生秘話


製材所に山積みされた杉皮




杉皮のアップ




繊維状に裁断された樹皮

 かつて、洋ランの培地には、山採りによる国産ミズゴケが使われていました。しかし、今ではそのほとんどが取り尽されてしまっていますまさに自然破壊です。国内のミズゴケが枯渇してしまうと、今度は海外の自然にあるミズゴケを採取し輸入し始めました。現在ではこの輸入ミズゴケが主に使用されています。
 国産ミズゴケが枯渇した当時、栃木県の洋ラン生産グループの一つ、日光シンビジウム組合のメンバーは、ミズゴケに代わる培地資材のがないものかと農業試験場に相談を持ち込みました。当時は、洋ランも苗の大量増殖が可能となり、より一層のコストダウンが求められていた時でしたので、できれば地域で産出される安価なもので、安定した量が確保できるものはないものか。ここから、試験場の研究員と組合メンバー等による模索が始まりました。

 ある日、研究員の一人が、森林組合の貯木場に水浸しの長大な杉の皮が山積みになっているのを見つけました。森林組合では処分に困っているといいます。しかも、林業が盛んな県内には莫大な量があると教えられました。そのとき、研究員の頭の中にある風景が浮かんできました。
 子供の頃、鳥小屋や物置に杉皮が葺かれ、そこによく植物が育っていたこと…。日光の杉並木の杉の大木の枝にはセッコク(デンドロビウム ノビル)が着生していたこと…。
 研究員は杉の皮を製材所から貰い、研究所へ持ち帰りました。この杉皮は非常に粗大で、このままではとても植え込み材料として使えるものではありません。そこで根が張りやすいように木バサミで細かく裁断し、さらにハンマーでたたいて繊維状にしてみました。これを使って早速洋ランを栽培してみたところ、思ったとおり育成は良好素晴らしい花を咲かせました。

 しかし、杉皮を繊維状にするのは大変な作業で、これを大量に加工できる技術が必要であると考えました。そこで、県林業試験場(現林業センター)に相談したところ、当時、樹皮から燃料ペレットを製造していた「今市木材開発協同組合(森林資源開発センター)」を紹介されました。組合では、樹皮の新用途開発につながるこの話に賛同し、共同研究をスタートさせました。
 ここから、具体的な粉砕技術の研究が始まり、製品化に向け精力的に試験が行われました。同時に加工した杉皮の特性やそれに適した潅水、施肥法を解明し、昭和59年には杉皮を使用した洋ラン栽培法を完成しました。
 製品化にあたり、杉の学名クリプトメリアヤポニカをモス状にしたところから「クリプトモス」と名付け商標登録を行い、さらに県と組合により共同で特許も取得いたしました(特許第2046421)。

〜こうして、とある生産者の悩みと小さなアイデアから生まれた種が、環境を思う多くの人たちの情熱の力で実を結び、クリプトモスを誕生させることになりました。〜


拡がるクリプトワールド

■イチゴの養液栽培にも
 地場資源で安定供給が見込める「クリプトモス」は、ロックウールに代わるイチゴの養液栽培用の培地として年々普及が進んでおります。
 有機質資材であるため使用後の処分が容易なことから、トマトやなすなどの養液栽培にも適用され、環境にやさしい天然資材として更なる普及が期待されています。

■土壌改良資材として
 国産杉樹皮を原料とするクリプトモスは、天然の有機成分が土壌の物理性を改善し、土壌伝染性病害の発生を抑制する効果があります。
 塩類集積土壌の改善に極めて有効で、菊、カーネーション、バラなど施設園芸における省農薬化に有効に活用されています。

■緑化工法資材として
 さらに、省農薬でコスト削減が可能な「マルチ資材」や景観保持、雑菌・雑草の繁殖を抑える「のり面緑化資材」、「治山」、「新たな緑化工法への活用」等、急速に利用が伸びております。


このように「クリプトモス」の活躍の場は

環境に対する人々の意識の高まりと共に

無限に拡がる可能性を秘めています



事業実績

1988年
1990年
1991年
1991年
1992年
1995年
1996年
1999年

(その他)


・培養土「クリプトモス」商品化
・タケダ園芸(株)とのタイアップにより「タケダ培養土21」を商品化
・「タケダ培養土21」を全国販売
阪神競馬場の芝コースに採用
・第1回リサイクル推進功労者等表彰において農林大臣賞を受賞
・再資源化開発事業等表彰において通商産業省環境立地局長賞を受賞
クリプトモス特許取得
・溶液栽培専用培養土「モスベリーミックス」を開発

甲子園球場芝張工事、改良材として使用
世界蘭展(東京ドーム)ディスプレー並びにグランドカバー資材として毎年使用
とちぎ緑化フェア会場、マルチング材として使用
日光杉並木への土壌改良材として使用

特許証
この商品は特許を取得しています。無断で生産し、販売した場合は損害賠償が請求されますのでご注意ください。

農林大臣賞を受賞






組合概要 クリプト解説 委託製造 屋上緑化
ギャラリー リンク お問合せ ホーム

 Copyright(c)2004 Cooperative imaichi-mokuzai-kaihatsu All Rights Reserved.